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2009年7月 1日 (水)

「ほんとうの空色」

小学校の頃、と言えば今から40年以上も前のことになるのだけれど、そんな大昔のことだから近所には本屋なんてものはなく、あの頃の私にとって本と言えば図書館にあるものかまたは希望者だけが学校で一括して買ってもらう「小学○年の学習」という月刊誌のみでした。

私は人と話すことが苦手でいつも一人で本を読んだり夢想ばかりしているような子供だったので、この学習雑誌が何よりの楽しみでした。多分小学3,4年の時だと思うのですが、付録に「ほんとうの空色」という小さな本が付いてきてそれがおもしろくておもしろくてそれこそ空にも昇りそうなくらいワクワクしました。この本について大人になってから人に話したことがあるのですが、知っている人はいませんでした。

ふと思いついて最近アマゾンで調べてみると、何と岩波少年文庫から出ているではないですか。時々思い出しては、「付録についてくるような本だから、そんなに有名な本ではないだろうし、もう二度とめぐり合うことはないだろう」と思っていたのに、見つけたときはうれしい驚きでした。ただ岩波少年文庫のこの本の第1刷は2001年となっているので私が昔に読んだものとは翻訳が違っているようです。英語で読もうと思ったのですが、実はハンガリーの作家でハンガリー語が原書でした( ̄○ ̄;)!

「ほんとうの空色」とは、塗るとほんとうの空になる絵の具のことでした・・・「それじゃ何のことかわからん!」というコメントをする人がいたので、野暮になるけど若干解説を加えると、朝太陽が昇り、青空が広がり雲が流れ、夕方になると日が沈む、夜は月が出て星がまたたき、雨の日はどんよりとして雨が本当に降ってくる。主人公の少年は屋根裏部屋にある大きな道具箱の蓋の内側一面に「本当の空色」を塗り、夜になるとその中に入って夜空を楽しんでいました。あんなにちゃっちくはないけど「ヴィーナス・フォート」のようなものを想像してみてください・・・「そんな絵の具が私にもあったら」と当時は空想にふけったものでした。

昨日アマゾンから届いて早速読んでみましたが、ワクワクして懐かしく、何だか小学校の同窓会で昔のクラスメート達にあった時のような気分でした。そう言えば、人と話すのが苦手だったにもかかわらず学校の休み時間によくこの「○年生の学習」の付録についてくるお話をクラスメート数人に読み聞かせをしていたのを思い出し、どうしてそんなことができたのかと今考えると不思議です。多分1年から4年生くらいの間のことだったと思います。本を上手に読むことができるようになったのが人より早かったからではないかと思います。また、ワクワクした気持ちを自分の中にだけにしまっておけなかったのかもしれません。

主人公の少年が半ズボンにうっかり落とした絵の具の汁でできた小さな空(それが唯一残った最後の空でした)に別れを告げ、すっかり小さくなったそのズボンを脱ぎ捨てた時、彼は少年から大人になったのでした。二度と戻らない私の遠い子供時代と重なり、ちょっぴり切ない気分になりました。

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8.日記」カテゴリの記事

コメント

6/30、7/1のブログを読みました。
46年ぶりの同窓会は、異常に興奮しました。
それが土日にあったのに、その興奮は火曜日あたりまで続いていたように思います。
なぜそのように興奮したのかと考えてみると、
第一に集まったみんなが、この46年の間に自分の世界を築き上げていて、それが私のことのようにうれしかったからではないかと思います。
第二に、集まった女性はふけず、みんな若々しく、私の内に恋心を醸し出したのではないかと思います。
そして、何よりも、みんなが節度をもって語らいあえたことが、喜びの余韻となったのではないでしょうか。

「ほんとうの空色」の話は、なぜか惹かれました。
私の全く知らないみっチャンの世界だったのですね。
私は当時、いたずらが過ぎて、よく叱られ、そう、大野先生にはこんこんと諭されたのを記憶しています。
「ほんとうの空色」は、読んだことがないのですが、私が高校の時に夢中になった Peter Paul & Mary の Puff the magic dragon lived by the sea.・・・を思い出します。
子供の成長をみる喜びとほんの少しの寂しさ。
この前の小学校の同窓会の後の心模様と似ているかもね。
そう、同窓会の余韻の中に、みんな遠くへ行ってしまった現実への寂しさが混ざっているかもしれません。

投稿: like Simon | 2009年7月 4日 (土) 01時55分

コメントありがとうございます。同窓会で会えて本当にうれしかったです。また次の機会を楽しみにしています!

「ほんとうの空色」の話、あの記事を読んで「よく分からない」と言う人がいたので若干解説を追加しました(* ̄ー ̄*)hideoさんはきっと想像力が豊かなのかもしれないですね。

投稿: michiko | 2009年7月 4日 (土) 12時39分

「うっかり落とした絵の具の汁」から広がった世界で、思い出す詩があります。
ずっと前の気がめいっていた頃に読んだ丸山薫の「白い自由画」です。

「春」という題で
私は子供達に自由画を描かせる
子供達はてんでに絵具を溶くが
塗る色がなくて 途方に暮れる

ただ まっ白い山の幾重なりと
ただ まっ白い野の起伏と
うっすらとした墨色の陰翳の所々に
突刺したような疎林の枝先だけだ

私はその一枚の空を
淡いコバルト色に彩ってやる
そして 誤って まだ濡れている枝間に
ぽとり! と黄色の一と雫を滲ませる

私はすぐに後悔するが
子供達は却ってよろこぶのだ
「ああ まんさくの花が咲いた」と
子供達はよろこぶのだ


これは、丸山薫が雪深い山形県の小学校で、
教師をしていた頃の詩のようです。
まんさくの花は、雪国の春、一番先に咲き、
春を告げる花のようです。

子供達の自由な発想に、心が洗われます。

投稿: like Simon | 2009年7月 5日 (日) 17時29分

like Simon さん

素敵な詩を教えてくれてありがとう。雪国に育った私たちも春の訪れがうれしかったことを思い出します。

投稿: michiko | 2009年7月 5日 (日) 20時58分

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