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2009年10月25日 (日)

"The Memory Keeper's Daughter"その2

作者がこの本の後書きに書いているのですが、この作品は教会の牧師から聞いた話がヒントとなって書かれたものです。

しかし、作者は牧師から話を聞いてもすぐには書き始められなかったそうです。何年も経って初めて第1章がふいに湧き上がりました。第1章を書き終えた時、これらの人たちがどうなっていくのか、何が起こるのかを知りたいという気持ちが強くなり、それがわかるまで書くのを止められなかったのだそうです。作者は天の声を聞いていたのでしょうか。

物語の後半部分で、デビッドは何年もの間戻ることのなかった自分の生家に戻り、そこでローズマリーと言う女性に遭遇します。彼女は "scherenschnitte"と言う美しく繊細なスイスの切り絵細工で家の中をいっぱいにしていました。一枚の紙から巧みにさまざまなシーンを作り出していく。デビッドがどこからアイディアが生まれるのかと聞くのに対し、ローズマリーは
"It's in the paper. I don't invent them so much as find them." と答えている。
つまり作品はすでに紙の中にあり彼女はそれを発見するだけだと言うのです。下絵も構想も何もなしで、いきなり切り始めるのです。

この"The Memory Keeper's Daughter"と言う小説も同じようにして生まれたのでしょう。真の芸術というのは文学であれ音楽であれ絵画であれ何であれ、そういうものなのかも知れません。そう言えば優れた仏師は木の中に仏が見え、仏が出してくれと言うのを堀り出すだけだと聞きました。そこに神の存在を感じずにはいられません。(多くの日本人と同様に信仰心はあまりないのですが、真の芸術に触れる時など時として神の存在を感じずにいられない瞬間があるのです。)

芸術は神からのメッセージではないかと思うことがよくあります。天才という媒体を借りて自らの存在を知らしめているのではないかと思うのです。芸術に対し、畏敬の念を禁じえません。

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3.英語の本(原書)」カテゴリの記事

コメント

芸術だけでなく、天啓は歴史の中で大きな役割を果たしました。ナザレのイエスは言うに及ばず、オルレアンの聖少女、神のメロディーが頭に響き渡ったモーツァルトなど枚挙に暇がありません。そんな中でなぜ自分だけが平凡なのか恨めしく思うこともあります。しかしサリエリのように天は私に彼の才能を理解する能力のみ与えたなど嘆くことなく、偉大な天才達の業績をしっかりと受け止め、生まれてきた喜びを感じたいと思います。本編のダウン症で生まれてもすくすく育った主人公の娘、それを支えた女性の強さに負けないようにね。

「彼の才能を理解する能力」というのもすごいと思いますよ。私なんか、りっぱな芸術(と言われているもの)の前で???だったりしますから。

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