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4.英語の本(Graded Readers)

2014年2月19日 (水)

"The Ring."

Ring

これもまた別の高校生が副読本として読んでいる本です。こんな簡単な英語で書かれているのにこんなにおもしろく書けるなんてちょっとすごいと思います。最後にあっと驚く展開があるんです。こんなにたくさん読まされちゃって、今時の高校生は幸せだわ・・・って思う。英語が好きじゃないと超不幸せかも・・・ですが。

めっきり読書をしなくなった私も生徒さんのお陰でこうやって新しい本に出合えてうれしいです。

Here is another book I read with another student of mine. Her high school seems to be always successful in finding the right book for the right grades of students. Although it’s written in easy English, I'm amazed at how they could make it so fun. Once you start reading, you just can’t put it down.

“The Child Who Never Grew”

Whonever

これは現在、新潟高校2年生の生徒さんが英語の副読本として読んでいる本です。

タイトルは “The Child Who Never Grew”で、同名の原書より約1/3を抜粋し編集しなおしたものです。作者のパール・バックは女流作家として米国初のノーベル賞を受けた偉大な作家ですが、知的障害を持つ子供の母でもありました。これは作者が「わが子が知的障害を持っていると悟った日からの苦悩の記録」です。文学的にも格調高く、人間の生きる意味や存在価値を深く考えさせてくれます。アマゾンで検索してみると「母よ嘆くなかれ」という邦題で翻訳が出ているようです。一読に値するすばらしい作品でした。

最近めっきり読書しなくなった私ですが、高校生のお陰で読む機会が与えられありがたく思います。

"The Child Who Never Grew" written by Pearl Buck. Adapted from a novel based on a real story of the same name. It's well written without sacrificing the quality of the original work, although the volume is reduced to 1/3 of the original. As you may know well, Pearl Buck was a great writer, but at the same time was a mother of a mentally retarded child. That is something I didn't know. I just read it because one of my high school students has to read it as supplementary reading at his high school, but I’m glad I could have a chance of doing so.


2010年4月 6日 (火)

"Rebeca"(Penguin Readers )

"Rebeca" by Daphne Du Maurier
Retold by A.S.M.Ronaldson
105ページ 30,000語

最初日本語の文庫版を借りて、上巻下巻からなるこの作品のほんの最初の部分だけ読んで挫折していた「レベッカ」を今回英語のリトールド版で読みました。

物語は語り手の「私」の追憶から始まり、書き出しの一文は次の通りです。

"Last night I dreamed I went to Manderley again." 「昨夜またマンダレーに行った夢をみた。」

この最初の一文で読者はたちまち不思議な世界に引き込まれるのです。

天涯孤独の「私」はある婦人の付き添いでモンテカルロに行く。そこで、Maxim de Winter(マキシム・デ・ウインター)と言う年上の紳士と知り合いたちまち恋に落ちる。マキシムはマンダレーという美しくて有名な大邸宅の持ち主であり、前妻のレベッカが亡くなってからマンダレーを離れ、放浪の旅をしていたが、「私」と結婚してマンダレーに戻る。

まさしく身分を越えた「超玉の輿結婚」とも言うべきものでしょう。しかし希望に胸をときめかせ大邸宅マンダレーに来た瞬間から「私」の苦悩が始まるのです。

使用人でありレベッカの友人でもあったダンバー夫人はなぜか「私」に敵意、嫌悪、侮蔑をあらわにする。ダンバー夫人のみならず、マンダレーのすべての人たちが自分とレベッカを比較しているのではないかと「私」は感じるのだ。レベッカは何しろ美しく教養があり完璧だったのだ。一方「私」は平凡で、これまでとは全く違った生活の中でおどおどするのみだった。

ある日「私」は使用人の一人フランクに軽い調子で(聞こえるようにして)、「教えて、レベッカはとても美しかったの?」と聞くと、彼は次のように答えた。

"Yes, I suppose she was the most beaufiful creature I ever saw in my life."

レベッカは「私」にはない女性として最も意味を持つすべてのもの、つまり自信、美しさ、賢さのすべてを備えていたのだと言うことを日々思わずにはいられないのだった。

そしてある日、偶然見つけたレベッカの部屋。その部屋に足を踏み入れた瞬間「私」は凍りつく。このお屋敷の中で最も美しいであろう部屋。その部屋はまるで今もレベッカがここで暮らしているかのように整えられているのだ。靴もきちんとそろえられ、化粧台の上にブラシやくしがそのまま置かれ、今にもレベッカが戻ってきてここに座り髪をとかすのではないかという気配。ベッドのシーツの上にはナイトドレスが置いてあり女性のかすかな芳香までがする。時計もレベッカが亡くなってから1年間、今も変わらず時を刻み続けているのだ。

この場面には背筋がぞくぞくしました。

非常によくできたサスペンスで読み出したらページを繰る手ももどかしいくらい、最後まで一気に読ませます。最後にすべての真相がわかってから読み返すと、すべてが符合するのですが、真相が明らかになってからもまた思いがけない事実が浮かびあがり、エンディングもかなり迫力のあるものでした。

この本が書かれたのは1937年です。100年ほど前に書かれたものなのに今も人気は衰えない小説のようです。シンプルバージョンを読んだところでオリジナルも読んでみたいと思いペーパーバックを手に入れたので近いうちに読みたいと思います。410ページあります。やはり書き出しは同様に

"Last night I dreamt I went to Manderley again."でした。("dreamt" は "dreamed"に変わっていました。)
この一文が何故か強く印象に残ります。

2010年4月 1日 (木)

"David Copperfield" (Oxford Bookworms Library stage 6)

"David Copperfield"by Charles Dickens
Retold by Michael Dean
102ページ 29,000語

原書は1000ページにも及ぶような大作なので、今回リトールド版でチャールズ・ディケンズの世界が垣間見れたのは良かったと思います。

この本はディケンズが自分の作品の中で最も好きなものだと前書きに書いてあり、作者の体験が色濃く投影された作品のようです。

しかしどうにも納得できない部分もありました。まず主人公デヴィッド・コパーフィールドの母親です。再婚相手の夫は、しつけと称してまだ8歳のデヴィッド に暴力を振るったり、5日間も部屋に監禁したりするのですが、彼女はどうしてこんな男と再婚でき、しかも愛し続けることができたのでしょう。

息子のためにできるのは、ただ泣くことだけ。優しい母親ということになっているけど、美しいだけがとりえの愚かな女としか私には思えません。しかしこれには当時の英国の時代背景を考慮する必要があるのかもしれません。

デヴィッドは母親が再婚する前までは幸せな子供時代をすごしており、再婚前も後も同じ家に住み、ピゴティという使用人がずっといっしょに暮らしていたくらいだから、彼の家庭は少なくとも中流以上の階級に属していたようです。

不幸な子供時代にもかわらず、同時に彼を愛してくれる人々がいたお陰で、デヴィッドは純粋で人を疑うことを知らないまっすぐな心を持ったまま大人になります。彼の善良さは心を打つものがあるのですが、同時に私にはこれが不安材料でもありました。

やがて彼は美しいドラという女性に夢中になり、念願かなって結婚もできました。しかし、結婚とは現実的なものです。自分が結婚したのは、何も知らない子供のような相手であったという現実を知ることになるのです。そして次のように思うのです。

"I felt sorry tht I did not have a real partner in life, with whom to share these worries."

このように、苦労を分け合えるような真のパートナーと呼べる相手を選ばなかったことを後悔する場面があります。聡明で思慮深く彼をずっと愛し続ける美しい女性がずっとそばにいたのになぜ気づかなかったのでしょう。

読み終わった後も、母親とドラという二人の女性についてしばし考えていました。そして思ったのは、この時代のこの階級の女性たちは自分の頭で物を考えたり判断したり、実用的なことをするようには教育されていなかったのかもしれないということです。

むしろ美しく無邪気で子供のようだというのが当時の理想の女性像だったのかもしれません。社会的階級が高いほどそうだったとも考えられます。時代により、国により、社会的階級によっても価値観は変わるものであり、そういった背景の知識なしには本当の意味で何かを理解することはできないのだと思います。

物語もおもしろかったですが、いろいろ考えさせられた一冊でもありました。

2010年3月26日 (金)

"Memoirs Of A Geisha" (Penguin Readers Level 6)

"Memoirs Of A Geisha" by Arthur Golden
Retold by Michael Dean
102ページ 29,000語

この本は実は今から丁度10年ほど前に原書(ペーパーバックで)で読んでいたものです。教室の生徒さんのために集めている英語多読用の本をすべて先に読んでおきたいというのが主たる理由ですが、実際にこの本がおもしろいことを知っているのでどのように書き直されているかも見たかったのです。原書ではページ数434、字もさらに細かく何倍ものボリュームがありましたが、我を忘れて読んでしまうほどにおもしろいものでした。ペーパーバックの内容や感想は私のHPに載せてあります。こちらです。

本の前書きにもあるとおり、この話は主人公の「さゆり」がテープレコーダーを横に置き自らの半生を作者に語り、それをもとに書かれたものです。「さゆり」や登場人物の死後にのみ発表する、また本名は伏せてという条件であったが、結局その前に発表されることになりました。当時「事実と違う描写がある」として「さゆり」が作者を訴えたいういきさつがあります。

字数制限があるので、削られてしまったエピソードがいくつもあり、原作で感じられた主人公「さゆり」のユーモアやウィットに思わず吹き出してしまうようなところはほとんど感じられなかったと思いますが、充分楽しめるものでした。何より、何倍ものボリュームのある本がこの短さで味わえるのは利点です。

普通なら知ることのない祇園や芸妓の世界は大変興味深く、また第2次世界大戦前後の彼らの状況も垣間見ることができます。(舞台は東京ではなく京都なので「芸者」ではなく「芸妓(げいこ)」という言葉が本当だろうと思います。)

心に響く部分はいくつもあるのですが、今回特に心に残ったのは、ストーリーの本筋ではない部分ですが、「日本海軍の父」と言われた山本五十六の言葉です。彼は一力という御茶屋でゲームをすると必ず勝ち、また彼は常に自分が勝つこと確信していた。「しかし誰だって時には負けることもあるではないか」と反論する者がいたが、彼は「そのとおりだ。だが、私にはない」と言う。成功の秘訣を聞かれた時彼はこう答えた。

"I never try to defeat the man I'm fighting.""I try to make him less confident. When you are more confident than your opponent, you will win."

「私は戦う相手を負かそうとはしない。」「私は相手に自信をなくさせるようにする。自分が相手より自信を持った時、自分が勝つのだ」と。

自信を持つということはそれほどに大きな力を発揮すると言うことです。それは先輩芸者「初桃」とさゆりの立場が逆転した時のエピソードでもありました。

また最後の一文は心に残るものでした。次の通りです。

"Whatever our struggles, and whether we sink or swim, our world is no more permanent than a wave rising on the ocean."「どんな困難があろうが、浮き沈みがあろうが、私たちの世界は海の波のうねりと同じように永遠ではない。」
(原書ではさらに長い表現が使われていました。)

2010年3月23日 (火)

"Heat and Dust"(Oxford Bookworms Library Stage 5 )

"Heat and Dust" by Ruth Prawer Jhabvala
book Retold by Clare West
104ページ

語り手の「私」は、祖父の最初の妻Olivia について知りたくてインドへと渡った。Olivia は英国滞在中にインドのプリンス Nawab と恋に落ち夫を捨て彼の元へと去ったのだ。

Olivia が初めてインドに来たのはインドが英国の支配下に置かれていた1923年。そしてその年、 Olivia の人生は永久に変わってしまった。

「私」がインドに渡ったのは1970年代。1923年と1970年代の50年という時を隔てて生きる二人の英国女性の物語が交互に語られていて、読み出したら止められないまさに「page turner」な本でした。

さらにこの二人の物語のおもしろさに加えて、1923年当時のインドでの英国人たちの暮らしぶりと1970年代のインドの様子が大変興味を引きました。今2010年のインドは1970年代からどれほど変わったでしょうか。

路上で死にかけたこじきの女性を見た時「私」は、医者に助けを求めに行くが、どうにもならない現実を知る。「では彼女はどこでどうやって死ねばいいのか」と思いつめていた「私」が、ふと「何百万人もいるインド人がまた一人死んだからってそれがどうなんだ?」と思った時に、そう考えている自分に驚くのだ。インドの「熱と埃」(Heat and Dust) が人の感覚を麻痺させていくのかも知れません。

また衝撃的だったのは、夫が亡くなった時に妻は夫とともに焼かれるという古くからの習慣があったということ。英国はその習慣を禁止し、1923年焼死した未亡人の家族が逮捕されてその習慣が終わった。(とこの本の中にはある。)

このことについて Olivia は「彼らの信仰の一部ではないのか、そうしたいのならその古い習慣を続けさせればいいのではないか。夫といっしょに死にたいと思う女性もいるのではないか」と反論する。本心からではなく、英国人が疑いもなく自分たちが一番正しいと思い込んでいることに反発したのだ。Olivia は価値観や善悪の判断は絶対的なものではないということをよく知っていたのだと思います。

ちなみにこれで思い出したのは以前読んだ "Burnt Alive"というペーパーバック 。レビューが私のHPに載せてあるのでそちらの方もご覧下さい。